STEP0 はじめに
3つの時期にわたって、
3つの職種の人が
協力し合ってゲームを作成する!
ゲームができるまでは、大きく「構想・準備期」「開発期」「最終仕上げ期」の3つに分けられます。作品規模にもよりますが、一本あたりの平均的な制作期間は3年前後。ザックリ言えば、構想・準備に半年、開発に2年、最終仕上げに半年、ぐらいのスケジュール感になります。
また、ゲーム制作に関わる職種は、こちらも大別するとプランナー、(CG)アーティスト、プログラマの3種類。実務では、その中でも細かく担当業務が分かれるのですが、大きく3つの期間に分かれ、3つの職種の人たちが互いに協力し合いながらゲームを作っていきます。
今回はこれらを中心に、ECCコンピュータ専門学校卒業生でもあり、ゲームメーカーに8年間在籍、プランナーとして5本のゲーム製作に携わった実績をもつ、ゲーム企画コース担当の杉田かすみ先生にお話を伺いました。
STEP1「構想・準備期」
(~約半年時点まで)
ゲームの構想や世界観など、
軸になる部分を固める!
この企画立ち上げ段階に関わるのは、プランナー、アーティスト、プログラマ、それぞれの分野で中心的な役割を果たす、「リーダー」と呼ばれる人たちです。この中で、企画アイデアを考えた人が、企画のけん引役である「ディレクター」を務めることが一般的。プランナーがその役割を受け持つことが比較的多いですが、アーティストやプログラマがディレクターとなることも、決して珍しくありません。
この段階では、リーダーたちで話し合いながら、企画アイデアをもとにゲームの大枠(たとえば「ファンタジーもののRPG」、など)の部分をまず固めていきます。それが決まると次は、ゲームの世界観の軸となるコンセプトアートを、コンセプトアーティストに依頼して作成(アーティストのリーダーが描くケースもあり)。このコンセプトアートをもとにして、STEP2以降、キャラクターデザインや背景デザイン、UIデザインなどの作業が派生していくイメージですね。
なおこの時期に、プログラマのリーダーが、そのゲームにおけるプログラム作成上の基本ルールを設定。1本のゲーム作成には何人ものプログラマが参加するので、スムーズな進行のためには、このルール決めが非常に重要です。
《関わる職種》
プランナー(リーダー)、アーティスト(リーダー)、プログラマ(リーダー)、ディレクター、コンセプトアーティスト
STEP2「開発期」
(約半年~2年半時点まで)
基本コンセプトに沿って、
ゲームの細部を
ひとつずつ形にしていく!
ゲームの基本設定をベースにして、キャラクターや背景のデザイン、パラメーターデータなどの見た目に関することや、キャラクターの動き、プレイ上の難易度設定など操作に関わること、また作中世界のマップや、ステージ、ストーリーの構成など、あらゆることを具体的な形に落とし込んでいきます。
開発の初期段階では、キャラクターの造形がまだ決まっておらず、何もデザインされていない人形(ひとがた)だけがゲーム世界に存在し、各種パラメーターも仮の数値が便宜的に入っているだけ、ということも珍しくありません。
その後、たとえばキャラクターのデザインが決まったり、武器アイテムのデザインが決まるごとに、それらが徐々にゲーム世界内に反映されていき、それに応じて細かな調整がなされていく、という形で開発は進んでいきます。
たとえば武器アイテムの効果音を例に挙げると、アイテムデザインの決定後、そのビジュアルとともに「これを振ったときにこんな音を鳴らしたい」という形で要望が共有され、それに合わせてコンポーザーが作ったサウンドをプログラマが実装する、という連携作業が行われます。そしてその都度、テストプレイを繰り返し、プレイのしやすさも含め問題点の検証や修正などを実施しながら、少しずつ段階的に作品の精度を高めていきます。
《関わる職種》
AIプログラマ、サーバーサイドプログラマ、ゲームエンジンプログラマ、キャラクターデザイナー、キャラクターモデラ―、ゲームモーションデザイナー、背景デザイナー、背景モデラ―、2Dアニメーター、UIデザイナー、ゲームシナリオライター、レベルデザイナー、ワールドデザイナー
STEP3「最終仕上げ期」
(約2年半~完成まで)
「よりよく魅せる」最後の味付けで、
作品のクオリティを
MAXまで引き上げる!
必殺技やイベントなどの際に挟み込まれる、カットシーンムービーなどの制作と実装は、開発も最終段階に入ってから動くことが多いですね。
たとえば、必殺技のカットシーンの場合だと、キャラクターモデラ―、カットシーンデザイナー、シェーダープログラマなど、複数の職種の方が関わります。
「ピカピカッ!」「バチバチッ!」みたいな、見栄えのするカッコいいエフェクトを表現するのは、シェーダープログラマ。キャラクターモデラ―からは、たとえば「その方向からカメラが向けられていると、腕のシルエットがカッコよく見えないので、ポージングと角度を少し調整したい」などの意見が出されます。そして、これらをまとめ上げて、カッコいいムービーに仕上げるのが、カットシーンデザイナーです。
こうしてさまざまなエフェクトやカットシーン、効果音などが足され、作品の魅力を二段階も三段階もアップさせたところで、ひとまず作業はひと段落。
あらためてテストプレイを繰り返してバグのチェックや修正を行い、最終確認が完了するとようやく、制作陣もユーザーのみなさんも待ちに待った、作品の公開となります。
《関わる職種》
シェーダープログラマ、サウンドプログラマ、カットシーンデザイナー
ゲーム企画
コース担当
杉田かすみ先生
見た目だけじゃない?
大きな意味でのWebデザインとは
「Webデザイン」と聞くと、オシャレでかっこいいサイトや可愛くて楽しくなるサイトなどを想像する人が多いと思いますが、実はそれだけがWebデザインじゃないんです。例えば皆さんは初めて見るサイトやスマホアプリでも、ある程度直感的に操作できますよね。しかもパソコンで見る時とスマホで見る時では見た目が違っているのに、同じように反応できる。説明書を読まなくても「ここを押すと次のページに行く」とか「細かい説明が見れる」ということを自然に理解できるのは、実はWebデザインの力なんです。このように操作性なども考慮してWebサイトの見た目を作っていくことを、私たちは大きな意味で「Webデザイン」と呼んでいます。
デザインだけ、
コーディングだけではない
Webのプロフェッショナルの育成
先述の「説明書がなくても誰でも分かるデザイン」は「UI・UX」と呼ばれていて、専門の職種もあります。また、デザインをサイト上に表示するためのプログラミング作業「コーディング」も、デザインとは分業になることが多いですが、ECCcomp.のWebデザインコースではどの職種を目指すにしても、一人の「Webのプロフェッショナル」として行動できるようなカリキュラムを組んでいます。例えば、デザインの前段階である「これはどういう人が何を求めて、何をするためのサイトなのか」を考えるところから、訪問ユーザー数やアクセスデータを計測し、改善を図るところまで授業で経験します。いざ実践の場に出たときに「デザイナーだから分からない」ということがないよう、どんな会社に入っても対応できる人材を育成します。
チーム制作で
より実践に違い制作環境を経験
ECCcomp.では1年生の時点でも、5つほどのWebサイトをつくります。自主制作も含めるともっと作っている人もいますが、卒業までにだいたい40以上のサイトを制作しますので、就職活動のころには大きな自信になっていると思います。またECCcomp.は他学年の学生や教員との共同制作の機会も多く、より実践に近い環境で制作活動ができているのではないでしょうか。様々な人と関わることで、新しいアイデアが生まれたり、3Dデザインなど最新のトレンドを取り入れてみたりと、積極的なコミュニケーションが知識やスキルの向上につながることも多いです。通信技術の向上に伴い、今後、Webデザイナーの活躍の場はブラウザーで見るWebサイト以外にも広がっていくと思いますので、この先の展開が楽しみな業界であることは間違いありません。
目指す職業
Webデザイナー、UI・UXデザイナー、Webコーダー、Webエンジニア、マークアップエンジニア、バックエンドエンジニア、フロントエンジニア
Webデザイン
コース教員
瀧本龍嗣先生
急速に進化するAI技術
自由に使用が可能で
一般人にも普及
AI技術は様々な分野で使われていますが、皆さんが1番イメージしやすいものでいうと、未来から来た某猫型ロボットではないでしょうか? あのように自分で考え、行動し、しゃべる高性能なAIは現時点での実装は不可能ですが、一部の機能に特化したAI技術は、すでにみなさんの周りにも存在しているんですよ。例えば自動車の自動運転や、カメラに写った人を特定する顔認識。対戦すれば対戦するほどどんどん強くなる「アルファ碁」などもそうですね。また、話題の対話型AI「chatGPT」なども最近、一般にもよく知られるようになってきました。chatGPTの場合、最初は対話に特化したAIでしたが、AI技術の使用、調査、再利用、修正、拡張、再配布などを無料で提供する=「オープンソース」化したことによって、色々な人が改良を加え、次第に音声や映像なども認識できるようになってきました。
AI技術を利用した
快適なコンテンツ提供を実現
先述の通り、AI技術の拡大やオープンソースの公開で、様々な人がAIを気軽に使用できるようになりました。ECCcomp.が目指しているのは、AIを一から「作る」ということよりも、AIを使用する新たなシーンの創出や、より便利な使い方を提案していくことです。例えば、YouTubeでは、視聴者が日頃見ている動画に基づいてオススメを表示してくますが、実はものすごい量のデータ(ビッグデータ)から視聴者の好む条件に合った動画を選出しているんです。もし人の手でこの作業をした場合、途方もない時間がかかりますが、AI技術を利用することで、タイムリーに提供できるんです。ビッグデータには、動画の言語や長さなど数千レベルの要素が含まれていて、こうしたデータをAI技術を使って分析していく「データサイエンティスト」という職業もあります。海外だと年収1000万円も当たり前の職種なんですよ。
AI技術とビッグデータは密接な関係
多岐にわたった様々な知識が必要
実はAI技術を使って何かを動かすために必要なプログラムは、たった数行だったりするんですが、そこからどうカスタマイズするかが重要で、基礎となる様々な知識が必要となってきます。例えばプログラミングの知識やシステムの知識、先述の自動運転技術などはIoTの知識だけでなくハードとなる車の知識もないと、専門的な命令やカスタマイズが難しくなります。ECCcomp. のAI・システム専攻では、AI技術やビッグデータを活用するために必要な知識を認定する「ジェネラリスト検定(G検定)」の資格を取得するための勉強もしていきます。AI技術はビッグデータがあって初めて活かせる技術で、AIエンジニアなどはとても多くの知識が必要な職業です。ECCcomp.では2~3年次にその基礎を学びながら、最新技術などにも適応し、4年次には実際にデータの活用とカスタマイズを行っていきます。
目指す職業
データサイエンティスト、AIエンジニア、IoTエンジニア、システムエンジニア、プログラマ、アプリケーションプログラマ
AI・システム
専攻教員
石田雄太先生
「モノ」と「インターネット」を結ぶ
今一番発展しているIoT技術
みなさんは「IoT」をご存じでしょうか? IoTは「Internet of Things」の略で「モノ」の「インターネット」化を指します。代表的なモノは「スマート家電」で、例えば冷蔵庫にIoT技術を組み込むことで、カメラが冷蔵庫の中に入っている食材を読み取り、アプリ経由で「カレーが作れますよ」と教えてくれたりする技術のことです。スマート家電以外にも自動車や監視カメラなど様々な「モノ」に取り入れられている、今一番発展している分野の一つです。
組み込み制御エンジニアと
IoTエンジニアそれぞれの役割
IoT技術に関わる仕事には「組み込み制御エンジニア」や「IoTエンジニア」があります。最近、私が開発に関わった「スマートグラス」を例に両者の違いを挙げると、声で指示された内容を判別するためのプログラムを組むことは「組み込み制御エンジニア」の仕事で、判別した指示内容の通りに情報を表示したり、ネットワークを通して他者へ共有したりする部分は「IoTエンジニア」の仕事になります。かつてこれらの職種は「システムエンジニア」とひとまとめに呼ばれていましたが、IoT技術の発展とともに専門職としての需要が増えてきています。
ソフトウェアだけではなく
ハードウェアからも支える
システムエンジニアにソフトウェアの知識が求められるのに加え、組み込み制御エンジニアやIoTエンジニアにはハードウェア(実際に動かす「モノ」)の知識も必要になってきます。しかし学生が個人的に最新鋭の自動車や家電についての見識を深め、開発機材を用意するのは金銭的にもなかなかハードルが高いため、ECCcomp.のIoT専攻はハードウェアの充実を強みとしています。現在、学生たちには3Dプリンタなどを駆使してドローンをイチからつくり、制御用のスマホアプリも自分たちで開発するといった、IoTエンジニアとしての実践に近いところまで経験してもらい、理解を深めてもらってます。
目指す職業
組み込み制御エンジニア、IoTエンジニア、システムエンジニア、プログラマ、アプリケーションプログラマ
IoT専攻教員
村上彗先生
ネットワーク環境の構築は
リアルの世界も含めての話
一般的に「ネットワークの仕事」と聞いてイメージするのは、最適なネットワーク環境を構築し、運用していく「ネットワークエンジニア」の仕事ではないでしょうか? ただ仕組みをつくるだけではなく、何らかの不具合が起きないようにセキュリティを万全にすることや、問題が起きた際に解決するメンテナンス部分も業務内容に含まれます。
ただ、実はこうしたネット上の作業だけがネットワークの仕事ではないんですよ。例えばNTTや携帯電話事業者などは、どこにいても電波が入るように電線や基地局を設置してるんですが、そうした施設や設備をつくるのも広義ではネットワークの仕事に含まれるんです。そのため無線や電気工事系の知識やスキルを持っていると、即戦力として企業に重宝されることもあります。
現代社会に必要不可欠な
ITインフラのプロ
先程の物理的にネットワークに関わる仕事は、クラウドなどで使われるサーバーのメンテナンスや管理業務なども含まれ、幅広いインフラ環境全般に携わるため「インフラエンジニア」と呼ばれています。例えば企業が社屋を新設したときに、どのOSやサーバーを使って、どのように線を引っ張り、セキュリティはどうするのかといったネットワークに関する問題を組み合わせ、最適なインフラ環境を設計しなければならないので、ネットワークエンジニアよりも多くの知識が必要になります。
こうしたネットワークを”構築”する分野が「ネットワークエンジニア」や「インフラエンジニア」である一方、それらを”守る”部分がセキュリティ分野となります。
ネットワーク社会が安全な理由は
セキュリティがあるから
例えばネットワークの一つひとつを家だと考えてみましょう。セキュリティはいわばその家に入る為の鍵だと思ってください。家にはたくさん大事なものがありますよね? でも鍵が空いていたり、簡単に壊せるような安物だったら、泥棒に入られるかもしれません。どれだけ豪華な家を建てても、簡単に侵入されてしまうような鍵では台なしです。
最近はIoT技術が進化し、自動車や監視カメラ、医療系の機械など様々なモノがネットワークでつながっています。そのため、セキュリティがしっかりしていなければ、安心して日常生活を送ることができなくなってしまうほど重要な問題なんです。ネットワークを「守る」ためにホワイトハッカーやセキュリティエンジニアは、意外にも「攻撃」の知識や方法も学び、そこから守り方を身につけていきます。
目指す職業
ホワイトハッカー、セキュリティエンジニア、ネットワークエンジニア、インフラエンジニア、システムエンジニア、プログラマ、アプリケーションプログラマ
ネットワーク・
セキュリティ
専攻教員
内山豊彦先生